【木造中高層建築の時代へ】都市の木質化と「森林のまち・伊那市」が果たす役割

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これまで中高層のビルや施設といえば、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造(S造)が当たり前とされてきました。

しかし近年、建築技術の進化や環境配慮への高まりを背景に、

「木造の中高層建築」が大きな注目を集めています。

今回は、変わりゆく建築のトレンドと、

豊かな森林資源を擁する長野県伊那市とのつながりについて考えてみたいと思います。


1. なぜ今、木造の中高層建築が注目されているのか?


かつて木造建築は、耐火性や構造強度の問題から中高層ビルには向かないとされていました。

しかし、近年では技術革新や法改正が進み、新たな選択肢として普及が進んでいます。


構造材の革命「CLT」の登場

普及の大きな鍵となったのが、CLT(直交集成板)という構造用木材です。

ひき板の繊維方向を互い違いに重ねて接着したこの素材は、

高い耐震性・耐火性・耐久性を誇り、欧米を中心に中高層建築への導入が急増しています。


耐火技術の進化と法律の緩和

建築基準法において、5階建て以上の建物には構造体に「2時間耐火性能」が求められます。

現在では、CLTの表面を強化石膏ボードなどで適切に被覆する技術が確立され、

2時間耐火構造を実現できるようになりました。

さらに、2010年の「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の施行や、

建築基準法の改正などにより、中高層建築で木材を利用しやすい環境が整えられています。


2. 木造×中高層建築がもたらすメリット


中高層建築に木材を取り入れることには、単なるデザイン面にとどまらない多くのメリットがあります。

カーボンニュートラルへの貢献:木材は成長過程でCO₂を吸収・固定するため、建材として長期間使用することで脱炭素社会の実現に寄与します。

また、鉄やコンクリートに比べて製造時のエネルギー消費が少ない点も特徴です。

工期短縮と現場の省力化:木材は軽量で加工しやすいため、現場での施工性が良く、躯体工事の工期短縮に貢献します。

国産材の活用と地域林業の再生:建築での木材需要が増えることで、国内の未利用資源が有効活用され、地域の林業振興につながります。

実際に都市部では、日本橋で地上17階建ての木造オフィスビル計画(三井不動産・竹中工務店)が進んでいるほか、

地上70階建ての木造超高層ビル構想(住友林業「W350計画」)などが発表され、大きな話題を呼んでいます。


3. 「森林のまち・伊那市」との深い関連性


このように都市部で「木の建築」への需要が高まる中で、非常に重要な意味を持つのが長野県伊那市のような木材供給地・林業先進地です。


「伊那市50年森林ビジョン」と持続可能な循環

伊那市は市域の約8割を森林が占めており、「伊那市50年森林(もり)ビジョン」を掲げて

持続可能な森林整備と地域材(アカマツやカラマツなど)の活用を推進しています。

市内の公共施設や教育施設においても積極的な木造化・木質化が進められており、

まさに「木材利用の先進都市」として全国的にも知られています。


都市と地方を結ぶ木材のバトン

都市部でCLTや中高層木造ビルの需要が増えることは、伊那市のように

豊かな森林資源を管理・維持してきた地域にとって、「伊那市産材の活用機会の拡大」や「持続可能な林業経済の循環」という大きな追い風となります。

伊那市の豊かな山々で育てられた木々が、都市の中高層ビルの構造材や内装材として使われ、

炭素を蓄えながら人々の生活を支える——。

「都市の脱炭素」と「地方の森林保全・地域活性化」がひとつに繋がる好循環のモデルが、今まさに形作られようとしています。


木のぬくもりを感じられる都市空間の創出と、地球環境を守るカーボンニュートラルの実現。

「木造の中高層建築」という新たな試みは、建築業界だけでなく、

伊那市をはじめとする森林地域にとっても未来をひらく大きな可能性を秘めています。

これからの街づくりと森林のあり方に、ぜひ注目していきたいですね。


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